斬られ役列伝・福本清三編/長七郎江戸日記(第2部) 第44話:少女の叫び(制作/ユニオン映画 制作協力/東映太秦映像)

国許で行われている治水工事の費用、三万両の横領を企む吉津藩江戸家老・沼田甲斐(近藤宏)の一配下の侍としてラス立ちに登場する福本清三名人。終盤、カメラ位置がやや引きのアングルに切り替わってからのシーンで素晴らしいパフォーマンスを披露して下さいます。
志茂山高也氏→池田謙治氏と長七郎(里見浩太朗)に斬られ、残るは沼田と木谷邦臣氏、福本名人の3名のみ。木谷氏(右)とペアーで長七郎とトライアングル状に対峙する福本名人。
長七郎が「俺の名前は引導代わりだ」を言い終えると、待ってましたと突進しつつ突きを繰り出す福本名人。
渾身の突きをやり過ごされた福本名人と交差するように木谷氏も長七郎に斬りかかりますが、同じく刀を払われます。それぞれが対角線上に移動して再びトライアングル完成。
即座に木谷氏と共に長七郎に斬りかかるも長七郎の二刀で同時に刀を払われ・・・
木谷氏共々・・・
抜き胴を浴びせられ・・・
その場でターンして振りかぶるも・・・
さらに木谷氏共々、胴を払われる福本名人。
一度大きく右手に捻った身体を・・・
すぐに起こしてから硬直する福本名人。
エビ反りを決める福本名人。
今度は身体を左手に捻ってから・・・
右回り気味に・・・
地面に倒れこむ・・・
福本名人。
スピードよりは技巧重視で里見氏が一手一手を丁寧に見せる立ち回りが多かった長七郎江戸日記シリーズですが、本作のラス立ちはいつもより速いテンポで展開します。その中にあって、立ち回りにおける動きの俊敏さでは並ぶ者がないと思われる福本名人。2度のターンを含む難しそうな連続技を、太刀筋の正確さを損なうことなく完璧にキメていますね。
本作の擬斗担当は上野隆三翁。福本名人と木谷邦臣氏をペアーにして同時に長七郎に斬りかからせるというのは、しばしば上野翁が用いるパターンですね。このラス立ちシーンには、「新松平右近」用に菊池俊輔氏が書き下ろしたギターサウンドが印象的な楽曲が使われていますが、スピーディーに展開する立ち回りに絶妙にマッチしていてカッコいいです。
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