時代劇名優一覧(男優編)・福本清三/長七郎江戸日記(第2部) 第13話:老兵は死なず(製作/ユニオン映画 制作協力/東映太秦映像)

目付の千坂弾正(永井秀明)や南町奉行所年番方与力・西尾多聞(勝部演之)と結託して要橋架替普請の不正入札を企む材木商・秋田屋六兵衛(高桐真)が飼っている用心棒・向井一角役として登場する福本清三先生。例によって不気味な剣の遣い手役を好演されています。
一味の密談の場に同席する福本先生。
床下に潜り込んでいた六さん(三田明)の気配を察知し、手で合図をして千坂らの密談を遮る福本先生。
静かに刀を手に取り・・・
そろりと抜刀する福本先生。
床の一点にあたりをつけ、一気に刀を突き刺す福本先生。
このシーンだけ真剣ですかね、本当に畳に刺さってますが(笑)それはともかく、刀は見事に六さんの肩先を捉えます。
刀に付着した血を確認する福本先生。
すぐさま庭に飛び出すものの、あと一歩のところで六さんに逃げられる福本先生。
所変わって。
六さんが自分の屋台まで戻って来て長七郎(里見浩太朗)や宅兵衛(下川辰平)に千坂の屋敷で盗み聞いた密談の内容を報告しているところへ、不意に物陰から薄気味悪く登場する福本先生(笑)
ゆっくりと3人に近づく福本先生。
静かに鯉口を切る福本先生。
何気ないシーンなのですが、大写しですからね。こういうところで時代劇俳優としての力量がはっきりと分かります。
六さんを庇うように立ちはだかった長七郎に「名は?」とぶっきらぼうに尋ねる福本先生。
人に名を聞くなら先に名乗るのが礼儀だ、と長七郎に説教をされ、抜刀の姿勢に入る福本先生。
そこへ酔っ払いが通りがかり、思わず柄から手を放す福本先生。
「向井一角」と、やはりぶっきらぼうに名乗る福本先生。
「速水長三郎」「三宅宅兵衛だ」と2人が名乗るのを聞いて、一瞬ニタリと笑ってから・・・
黙って立ち去る福本先生でした。
お話の冒頭では、六兵衛と仲間割れを起こした本所方同心・磯貝(谷口孝史)を一太刀で斬り捨てるなど、恐るべき剣の遣い手として描かれている向井一角ですが、さすがの福本先生。その刀捌きと独特なお顔立ちやメイクによって(笑)、見事に味わい深いキャラクターに仕上げておられます。
本作の脚本担当は小川英氏と蔵元三四郎氏。一角が立ち去ってから宅兵衛が思わず「蛇のような男だ」と漏らすのですが、福本先生のキャスティングを見越してそのような台詞を入れたのではないか、と勘ぐってしまうほど、言い得て妙な一言です。
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