時代劇名優一覧(男優編)・小松方正/江戸を斬るVII 第25話:願い叶えた千両富(製作/C・A・L 制作協力/東映)

掏りの元締め「顔なしの貫造」という裏の顔を持つ両替商・江島屋八郎兵衛を演じる小松方正先生。
金四郎(里見浩太朗)を銃撃した犯人(=他ならぬ江島屋)を探索中の秋月(森田健作)らに呼び止められ、駕籠の中から姿を現す江島屋。
「お役目ご苦労様でございます」
秋月に誰何され、「手前は日本橋で両替商を営む、江島屋八郎兵衛でございます」
勘定奉行から下しおかれた鑑札を取り出す、用意のいい江島屋(笑)
「どうぞ」
ボロを出さない江島屋を解放するしかない秋月たち。
「ありがとうございます」と駕籠に戻る江島屋。
終始、嘘臭い笑顔をキープしつつ、台詞には全く抑揚がないにも関わらず、お芝居がきちんと成立している小松先生。さすがです。
さて、貫造が実の娘同然に育てた女掏り・おしの(藤吉久美子)が足を洗いたいと言い出す場面。
「こいつはまた厄介事だな」と相変わらず台詞に心がこもらない貫造。手下の浅川一心(伊吹聡太朗)らに意見を求めます。
「どうだ、みんな」
そんなやり取りの最中に床下の不審者に気付いた一心が刀を床に突き立てます。床下から飛び出て来たのは、おしのに千両富を掏られた宗助(桜木健一)。
思わず「何だ?このすっとんきょうな野郎は?」とすっとんきょうな声を上げる貫造。
しかしそこは小松先生。変にヒートアップすることなく、もの静かに驚いてみせる絶妙な温度感。
そして貫造がおしのに一味を抜ける条件として宗助を殺害するよう命じたところで金四郎が登場。金四郎にその正体を言い当てられて、短筒を取り出す貫造。
「好きなところをブチ抜いてやろうじゃねぇか」
やっぱり棒読み(笑)
「面白ぇ!やれるモンなら、やってもらおうか!」と金四郎に桜吹雪を見せつけられ、ちょっと驚いた感じの小松先生(笑)
そこから立ち回りスタート。
驚くほど無抵抗のまま・・・
あっさりやられる・・・
小松先生(笑)
さて、お白州に引っ張り出され、金四郎に「顔なし貫造とその手の者、面を上げぃ」と言われても顔を上げない貫造。
金四郎に「顔を上げぬか」と促された小松先生、落ち着き払った口調で「私めは江島屋八郎兵衛。貫造とは申しません」
金四郎「その方は顔なし貫造ではないと言うのか」
貫造 「何でこの私めが二つ名の掏りの元締めなどと。滅相もございませぬ、お奉行様」
証人として出廷したおしのに「あたいに掏りの手ほどきをしたのはいったい誰だい?お前じゃないか!」と罵られても「はてさて?」と空とぼける貫造。
「その女掏りのたわ言にございます」
それでも貫造の正体を見抜いている金四郎にじわじわと詰め寄られ、ついには「何の恨みがあってこの私めを、その顔なしの元締めに仕立てあげようとなさるのか!」と気色ばむ貫造。
ここに来て初めて感情のスイッチが入る小松先生ですが、金四郎に桜吹雪を見せつけられて・・・
「あ、あのときの・・」
「遊び人!」
「どうだい貫造、恐れ入ったか!?」と金四郎に凄まれて、ふてぶてしく頭を下げる貫造。
そのまま一味と共に引っ立てられる小松先生でした(笑)
表情の変化が乏しいうえに台詞は半ば棒読みであるにも関わらず、圧倒的な貫禄と存在感を見せつける小松先生。新国劇の巨匠・島田正吾氏に通じる凄みすら感じさせます。
それにしてもこの回のゲストは豪華ですね。中盤に披露される里見氏と伊吹氏の美しい殺陣シーンも必見です。
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