斬られ役列伝・笹木俊志編/新・松平右近 第21話:旗本屋敷に鬼が棲む(制作/ユニオン映画・六本木オフィス 制作協力/東映太秦映像)

賭場のいざこざで命を落とした旗奉行・青山玄蕃頭忠邦(高岡健二)の叔父で、その機に乗じて忠邦の妻・文(三浦真弓)と結託、二千五百石の青山家乗っ取りを画策する青山左門(田中浩)の腹心・朽木隼人役として登場する笹木俊志名人。物語の中盤、右近を演じる里見浩太朗氏と1対1による堂々とした立ち回りを披露してくださいます。
忠邦の母・千勢(鳳八千代)は、亀有村の庄屋・弥兵衛(永田光男)の元へ里子に出した忠邦の双子の弟・伊助(高岡健二・二役)を死んだ忠邦の身代わりに仕立てようと考えますが、伊助を追って江戸に出て来た伊助の女房・おゆき(仁和令子)と知り合った右近はその企みを見抜き、音松(火野正平)に青山家の内情を探らせます。
植木職人に成りすまして青山家の屋敷に潜り込んだ音松に秘密を知られたことを察知した左門の命を受け、隼人は屋敷を出た音松を尾行。事前に右近と示し合わせ、ダッシュで逃走した音松を隼人が追いかけようとしたところで右近が登場、隼人の眼前に立ちはだかります。
鯉口に手をかけ、ゆっくり抜刀の姿勢に入る笹木名人。
身を低くして抜刀のタイミングを計る笹木名人。
さらに身を低くする笹木名人。
矢庭に刀を抜き・・・
横払いで右近に斬りつける笹木名人。
右近に躱されるや、刀を振りかぶり・・・
今度は真向斬りで斬りつけるも・・・
手で腕を払われるや、時計回りに反転・・・
右腕一本で水平斬りを繰り出すも・・・
短刀でガッチリ受け止められる笹木名人。
アングル変わって・・・
刀を押し上げられる笹木名人。
そのまま・・・
刀を高く掲げて静止する笹木名人。
お互い微動だにしないまま7秒経過。
ほんの僅かに左手に移動する笹木名人。
今度は右近が僅かに前へと詰めたのを機にさらに左手へ移動し・・・
突如、中段に構え直す笹木名人。
身を低くしつつ、やや左手に回り込んでから・・・
右近に斬りかかろうとする笹木名人。
しかし右近にいち早く短刀の切っ先を向けられ・・・
後退するしかない笹木名人。
ひと呼吸おいて再度右近に斬りかかり・・・
刀を短刀で受け流されつつ・・・
右近とポジションをクロス・・・
時計回りに反転して・・・
互いに払い合うも空振り・・・
そのまま手首を返し・・・
脇構えに移行して・・・
右近と対峙する笹木名人。
中段の構えに移行中に・・・
右近に一歩踏み込まれ・・・
思わず身を引きながら刀を振りかぶった挙句・・・
右近の動きが止まると見るや・・・
再度振りかぶって右近に斬りかかるも・・・
刀を短刀で払われ・・・
もう一度、正面から斬りつけるも・・・
身を躱した右近に刀を短刀で受け流される笹木名人。
アングル変わって・・・
今度は半時計回りで反転・・・
脇構えで右近と対峙する笹木名人。
3秒ほど対峙するも根負けして腰を浮かし・・・
素早く後退した挙句・・・
逃亡する笹木名人。
新・松平右近シリーズでは、第8話「鞠子宿から来た女」においても大ボスの腹心役としてキャスティングされている笹木名人。本作ではラス立ちでの活躍も見応えがありますが、やはり最大の見せ場は今回ピックアップした里見氏との1対1の対決シーン。じっくりと間を取りつつ展開する立ち回りにおける所作や刀捌きこそ、笹木名人の真骨頂と言えます。
とりわけ里見氏共々微動だにせずお互いが対峙する7秒間は圧巻ですね。これは立ち回りだけでなく演技そのものにも言える事だと思いますが、「何もしていない」のにお芝居を成立させる事が出来る役者さんのお芝居ほど、観ていて面白いものはありません。一たび刀を抜けば、大スターである里見氏に全く引けを取らない貫録を見せつける笹木名人。さすがの一言に尽きますね。
本作の擬斗担当は、右近シリーズに続いて新・右近でもメインを務められていた上野隆三翁。このシーン、里見氏の短刀捌きもバリエーションに富んでいて面白いですね。逆手→順手→逆手とひょいひょい持ち替えたり、得物を左手で隠して構えたり、大刀ではあまり使わないような技がちょくちょく盛り込まれていて勉強になります(笑)
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