時代劇アイドル編・村上理子/長七郎江戸日記(第2部) 第46話:狸がくれた五千両(製作/ユニオン映画 制作協力/東映太秦映像)

時代劇アイドル編・村上理子/長七郎江戸日記(第2部) 第46話:狸がくれた五千両(製作/ユニオン映画 制作協力/東映太秦映像)

とにかく日本髪のよく似合う美人で、お着物をお召しになった際の所作振舞いまでとんでもなく美しい村上理子さんという女優さんがおりまして、ごくたま~に東映京都の時代劇にも出演されていたのですけれども、それはもう、いっかい観たらめちゃくちゃ印象に残る、それはそれは魅力的な女優さんなのにも関わらず、本当にごくたま~にしか出て来ない。あんだけ日本髪がよく似合う美人で、所作振舞いまで完璧やのに何でや?と思ったものですが、まぁ、関東を拠点にされてる女優さんだったから、とかなのかな・・・?

そんな数少ない村上理子さんの出演作の中から、長七郎江戸日記シリーズ第2部より、大店に抜け荷品の売買を持ち掛けて金を騙し取る騙り一味の女を演じられたお話をピックアップ。

 

江戸の街に、日本橋の廻船問屋・大黒屋(国田栄弥)が騙りの一味に三千両を騙し取られたという噂が流れるなか、押し込みに殺されたとされる淀屋(石浜祐次郎)という隠居が生前、辰三郎(火野正平)の飲み仲間である大工の留吉(本田博太郎)に五千両もの大金を残していたことが発覚。寝耳に水の留吉、辰三郎や大家の吉兵衛(北見唯一)らと共に長屋に戻ると、満を持して理子さん登場。

「留吉、あたしだよ。お前の姉さんだよ」

時代劇アイドル編・村上理子

「お前は知らないだろうけど・・・あたしたちはねぇ、お前が三つのときに、離れ離れになったんだよ」

時代劇アイドル編・村上理子

おっ母さんにもらったなる「へその緒」まで取り出して・・・

時代劇アイドル編・村上理子

「留吉ぃ!」

時代劇アイドル編・村上理子

五千両を手に入れたばかりか生き別れの姉にまで会えた、とみんなで大喜びしてるところに・・・

時代劇アイドル編・村上理子

娘が現れて「偽物です!」

顔色が変わる理子さん。

時代劇アイドル編・村上理子

娘は淀屋の身の回りの世話をしていたというお春(杉浦幸)で、淀屋は留吉に身寄りはいないと言っていたと主張。お春と共に駆け付けた長七郎(里見浩太朗)も、役人立会いで話せ、と加勢して、理子さんギブアップ。

「ふふっ・・バレちゃ、しょうがないね」

時代劇アイドル編・村上理子

「五千両、大事にしな!」

時代劇アイドル編・村上理子

捨てゼリフついでに、へその緒を地面に叩きつけて・笑、退散する理子さんでした。

いや~、それにしても理子さん、相も変わらず美人さん(八木亜希子アナ似)ですね~。そしてお着物姿が、いつもながら大変よく似合う。

私見ですが、このお話、ヒロインは杉浦幸さんって事になるんでしょうけれども、セーラー服時代はともかく、お着物をお召しになってもいまいちパッとしないと言うか、全編通してこのお話に彩り、華を添える担当が理子さんオンリーに見えてしまうのは、ここだけの話です。

 

さて、縁もゆかりもない他人から金をもらうわけには行かない、と五千両の受け取りを頑なに拒否していた留吉ですが、三年前に団子屋で財布をなくして困っていた淀屋を助けたことを思い出し、また問題の五千両を預かっているという名主(有島淳平)に受け取りを催促された事から、ついに淀屋の仇を討つ腹づもりで問題の五千両を受け取る決意をします。辰三郎や吉兵衛共々、名主から五千両に換金可能な手形を受け取った帰路、浪人者の集団(西山清孝氏、藤沢徹夫氏、大矢敬典氏、木下通博氏)に襲撃される一行。

既(すんで)のところで長さんと宅兵衛(下川辰平)が駆け付け、一蹴される浪人者集団。木陰に隠れて様子を窺っていた理子さんに気付いた辰三郎が後を尾けてみると、理子さんが向かった料亭の座敷には身分の高そうな武士と関西訛りの男・才次(金子研三)。

時代劇アイドル編・村上理子

辰三郎が天井裏に潜んで盗み聞いた会話の内容によれば、大黒屋から三千両を騙し取ったのは才次の一味で、次なる標的は木曽屋(疋田泰盛)であることも判明。

実は淀屋の正体は、三年前まで上方を荒らし回っていた騙り集団の頭目・浪速屋十兵衛。そして才次は十兵衛の元手下で、江戸に出て来て仲間たちと大黒屋から三千両を掠め取ったうえ、隠居した淀屋の五千両まで奪うために淀屋を殺害したのでした。

武士に「淀屋の隠居金(がね)はどうした?」と尋ねられた理子さん。

「それもご心配なく。ちゃんと手は打ってございます」

時代劇アイドル編・村上理子

おぉ~、なかなか悪い顔だ・笑

一味はお春を拉致したうえで、留吉から身代金としてまんまと例の五千両をせしめます。

 

場面変わって。夜も更けた頃、川(湖?)のほとりを行く一艘の屋形船。

「木曽屋さん、お呼びしたのは他でもございません」

時代劇アイドル編・村上理子

例の品物を欲しいという者が他にも現れた、と煽る理子さんに「私の方が先じゃないか」と猛抗議する木曽屋さん。明日までに四千両用意しろ、という理子さんに「分かった」と応えつつも、不意に大黒屋が金を騙し取られた一件を持ち出して「まさか・・・?」と理子さんに疑いの目を向ける木曽屋。

そんな疑いを「んっふふふ」と一笑に付す理子さん。

「私、そんなインチキはいたしません。品物をお見せして、その場でお取引いたします」

時代劇アイドル編・村上理子

「それなら安心だね」とチョロい木曽屋・笑

一味の手口は、蔵に大量の抜け荷品を持ち込んだうえで相手に見せ、錠前をかけて鍵を相手に渡すものの、金の受け渡しが終って相手が蔵に戻った頃には、蔵の壁に開けた穴から品物をごっそり持ち出し済み、というもの。

意気揚々と蔵に戻るや、空になったいくつもの木箱を目にして「そんな~」と泣き崩れる木曽屋を尻目に、現場を見張っていた宅兵衛と利助(新田純一)が船で一味の後を尾けると、一味が千両箱を運び込んだのは、改易になった北山藩十万石の元江戸家老・平川泰造(江見俊太郎)の屋敷。

座敷に運び込まれた千両箱を前に、「ご苦労だったな。才次、お喜久」と労う平川。

時代劇アイドル編・村上理子

ここで初めて理子さん演じる女の名前が判明。

集めた金でお家再興を、と宣言する平川の尻馬に乗っかる理子さん。

「まずは、一生安楽に暮らせる身分が欲しゅうございます」

時代劇アイドル編・村上理子

お家再興が叶えば願いは何でも叶えてやる、と言いながら、平川が才次に斬りつけ現場は修羅場に。

時代劇アイドル編・村上理子

平川の家来たちも参集、哀れ理子さんも、画面左奥で笹木俊志氏に斬り捨てられてしまうのでした。

時代劇アイドル編・村上理子

 

前回とは違って今回は寄りのシーンもたくさんの理子さん。その目鼻立ちの整った美しいお顔をこれでもかと堪能させて下さいます。お声の色っぽさや、時代劇をよく分かっておられるのであろう完璧なセリフ回し、美しい所作振舞いも健在。このような女優としての芸の懐の深さは、一般の視聴者の方にはなかなか伝わらないものかもしれませんが・・・。

前回とは違って悪役ではあるのですが、血も涙もない極悪人のオーラは全く醸し出されておらず、ちょっとだけ知能犯といった態の、薄味のお芝居に終始されてる感じですね。これは才次役の金子研三氏にも通じることですが、台本上は大悪に使い捨てにされるだけのちんけな小悪党なわけですから、登場人物の属性を解釈されたうえで敢えてそのように演じられているという事なのだと思います。こうなったら冷酷非道な極悪人を演じる理子さんも一度見てみたい思いに駆られてしまいますね。

 

さて、このお話、理子さんの活躍も見どころではありますが、救いようのない程お人好しの大工・留吉を演じた若き日の本田博太郎氏のお芝居も特筆ものです。特に理子さんが姉のフリをして現れる序盤の長屋のシーン、博太郎氏に注目してよく観てみると、それはそれは緻密にお芝居を組み立てておられる事がよく分かります。とりわけ理子さんに「留吉ぃ!」と抱きつかれるあたりの博太郎氏のお芝居、好きですねぇ~。