竹光カスタム・柄糸の巻き直し編/柄巻きのルール(表の留めと裏の留め・表目貫と裏目貫)

「白柄で」と指定して納品された竹光の大小。
白柄にしては刀装具が地味だな、というのはさておき・・・
気付かない(知らない)人は気付かないだろうけれども、見る人が見れば強烈に気持ち悪い点がひとつ。柄糸の留めが表ウラ逆ですね
表。
裏。
これまで数十振の竹光を購入してますが、半分以上は逆ですね。一般的な柄糸の幅(10mm)と木柄の長さ(基本は八寸≒24cm)の組み合わせでは、何も考えずに巻き始めると裏でしか留められなくなるという事でしょう。ちなみに柄糸は引っ張ると幅が細くなるため、表で留めるために予め正しい菱の数を計算し、糸を巻くときには引っ張り加減を調整して巻いていきます。
あと、これも分かる人にしか分からないでしょうけれども、表ウラで同じ目貫を使用しており、裏側の目貫(龍)の頭が縁(鍔)の方を向いてしまってますね・・・。
本来、目貫は表ウラで図柄を変え、刀を腰に差した状態で顔や頭(植物の場合は花)が相手方(=柄頭の方向)を向いていなければなりません。この決まりには「敵に背を向けない」という意味が込められているのですが、横着して表ウラで同じ目貫を使用しているために、一方は敵に尻を向けているということで、武士として到底許される事ではありません・笑
まぁ、そもそも需要がさほどあるとも思えない品物ですし、部品(金型?)を削減したかったって事なんでしょうけどね・・・。
さて、こうした市販の竹光(の柄回り)における諸々の「ダメな点」を改善するためには「柄糸を巻き直す」という作業が必要になります。
とりあえず元の柄糸をバラした状態。
バラして初めて分かることのひとつは、鮫皮には「短冊」と呼ばれる最も低コストの方式が採用されていることですね。低コストというワードには、最も簡単な方法であるがゆえにアルバイト君でも出来るだろうな、という意味も込められています・笑
あと、刃方と棟方に両面テープが使われていますね。
本職の方は「薬練(くすね)」と呼ばれる、松ヤニと菜種油を配合して作る接着剤を柄糸の裏に塗って滑り止めにします。
使われている刀装具(目貫・縁・頭)。
龍をモチーフにしたもので統一されている点は好感度アップですが、目貫の横着で減点。
私がいつも注文しているお店では、鍔の指定が可能です。これは龍をモチーフとする丸鍔。
地味だなー・笑
せっかく柄糸を巻き直すので、その機会に刀装具を一新してしまいます。
今回は「鶴」で揃えてみたいと思います。
鍔。
目貫、縁、頭。
続きはまた後日。
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