時代劇名優一覧(男優編)・西田健/暴れん坊将軍IV 第50話:非情の掟!激突、父と子(制作/テレビ朝日・東映)

時代劇名優一覧(男優編)・西田健/暴れん坊将軍IV 第50話:非情の掟!激突、父と子(制作/テレビ朝日・東映)

富山藩の江戸家老・水野平太夫(山本清)と結託、吉宗(松平健)配下の御庭番を装った水野操る忍び集団・神明組を使って御三家の重臣を次々に暗殺したうえ、吉宗が御三家取り潰しを画策しているとの噂を広め、疑心暗鬼に駆られた御三家始め大名諸侯と結んだうえでの謀反を画策する尾張藩の江戸家老・向井将監を演じる西田健先生。まぁとにかく安定のカッコ良さです。

 

まずはその登場シーンから。

舞台は尾張藩上屋敷。床に落ちているキセルに気付いて拾い上げる健サマ(上様の方じゃないヨ)。

「これは(尾張藩主)宗春様愛用のキセル・・・なぜここに・・・?」

時代劇名優一覧・西田健

どこからともなく、このような警備では殿様の命が心許ない、と声がしたかと思うと・・・

時代劇名優一覧・西田健

天井から降って来る忍びの男。

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この忍びは、三上真一郎氏演じる御土居下御側組(おどいしたおそばぐみ)組頭の下村勘兵衛。御土居下衆は、名古屋城陥落時に藩主を脱走させるため、三の丸の土手下に詰めているとされる忍びの精鋭集団で、勘兵衛は配下十名と共に江戸に参じたことを将監に報告。

満足そうに頷く健サマ。

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いつもながらの凛々しいお口元。

「お~ぉ、さすがは御土居下衆。待ちかねたぞ」

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集まった御土居下衆に、御三家重臣を襲ったのは公儀の御庭番で、ついには吉宗が宗春の命を狙うと決めたようだ、などと口から出まかせを吹き込む将監。

「上様は、我が殿を亡き者にしても、尾張を潰そうとしておいでなのだ!」

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「勘兵衛、何としても殿をお守りせぃ!」

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いつ聴いても惚れ惚れする、厚みと張りを備えたバリトンボイスが本日も炸裂!

 

さて、薬売りのフリをして藩邸を探りに来た神明組の若者・弥吉(小峰裕一)が忍びであることをすぐさま見抜いた勘兵衛は、二度までも弥吉を取り逃がすものの、最後は空駕籠で神明組をおびき寄せて罠にかけ、弥吉を追い詰めたうえで、その正体が神明組の忍びである事にも気づきます。しかし才三(五代高之)と茜(入江まゆ子)の調べで二人が生き別れの親子であることを知った新さんが二人の対決の場に登場。

二十年前、勘兵衛は藩内の争いに巻き込まれ、ある人物の暗殺を組頭に命じられたのですが、妻・菊江(福島葉子)がその事を訴え出ようとしたばかりに妻子を殺すよう組頭に命じられてしまい、菊江は手にかけたものの、乳飲み子であった弥吉は殺すことが出来なかったのでした。

二人は新さんに、富山からはるばる江戸に出て来た弥吉の女・お里(吉野真弓)が身ごもっており、今はめ組にいる事実まで告げられたうえで、その場から姿を消します。

そして舞台は再び尾張藩の上屋敷。

将 監「何事だ、勘兵衛」
勘兵衛「将監様、御三家を襲っておるのは、公儀御庭番ではございませんぞ」

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勘兵衛は、御三家襲撃が神明組の仕業である、としたうえで・・・

勘兵衛「その上で糸を操るは、富山藩江戸家老、水野平太・・・」
将 監「もうよい!」

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将 監「勘兵衛・・・その事、他言ならんぞ」

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「しかし!」と身を乗り出す勘兵衛の機先を制する健サマ。

「それはそうと勘兵衛・・・其の方には、息子とやらがいると聞いたが?」

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思わぬ指摘に当惑しつつも、自分には妻も子もあろうはずがない、と取り繕う勘兵衛に「そうであろうのぅ・・・」と将監。

「例え赤子であろうと、掟を破った者を生かしておく下村勘兵衛ではないからのぅ」

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「ん~?」とダメ押ししてから扇をパチンと閉じ・・・

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その場を後にする健サマに、ぐうの音も出ない勘兵衛さんでした。

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さて、勘兵衛は密かにめ組へお里に会いに行ったところを新さんに見つかります。二十年前の出来事を語り出したうえで、庭先に隠れていた弥吉に菊江の最期の言葉を伝える勘兵衛。心境の変化があったか、再度、将監と対決するため上屋敷へ。

勘兵衛「なぜ・・・なぜ我らを斯様な目に・・・」
将 監「何の事だ?」

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一度リハで使った紙に上書きしているのか、筆の位置がおかしい健サマ。

ま、そりゃそうと、もう全て分かっている、と勘兵衛。

勘兵衛「我が殿に、将軍家打倒をそそのかし、富山藩江戸家老と結託した大芝居・・・」
将 監「それがどうした・・・?」

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カメラが寄るまで溜めてから突然、怒鳴り出す健サマ。

「命じられたままに動いておればよいのだっ!」

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それが尾張のためと強弁する将監に「それでは何も知らずに死んで行った者たちがあまりにも哀れ」と食い下がる勘兵衛。

「勘兵衛・・・」

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「其の方の、御土居下衆に似合わぬ思いやり・・・」

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「感じ入ったぞ!(銃声)」

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血を吐きながらよろよろと立ち上がる勘兵衛。

「だがそれは、もはや忍びではないという証・・・」

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「お前は忍びの心を」

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「失うたのだ!」

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殺陣がお得意なイメージはあまりない健サマですが、なかなか鋭い一太刀。

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手傷を負いながらも、その場から逃げる勘兵衛。

そして今日も絶好調の健サマスマイル(笑)

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忍びの虚しさを噛みしめながら、最後にお里の元に向かった勘兵衛は、弥吉を助けるために奉行所へと向かうお里と遭遇。お里に襲いかかる神明組からお里を守って死んで行きます。

一方、主君・宗春を騙してついに将軍家打倒のお墨付きを得た将監は、水野及び神明組を束ねる薬種問屋・越中屋久兵衛(松本朝生)とお祝いムード。

水野「これさえあれば、諸国は、尾張と共に起ち上がりますぞ」
将監「尾張の天下じゃ」

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富山藩に格別の計らいを求める水野に応えて将監。

「無論じゃ。天下の副将軍に取り立てようぞ、ハッハッハッハ・・・」

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そこへ上様から、たかが紙切れ一枚のために云々、と天の声。

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「何奴じゃ?」

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吉宗「愚か者め、余の顔を見忘れたか」
将監「あ、あ・・う・・う、上様・・・!」

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一度は庭に下りて控えるも、ついには開き直る健サマ。

「フッフッフッフッフ、我らには我が殿のお墨付きがあるわ。将軍家を倒せとのな」

時代劇名優一覧・西田健

水野の号令で神明組の忍びと(おそらく)富山藩士がぞろぞろ出て来て斬り合いになりますがバタバタと倒された挙句、越中屋と水野も倒れて将監万事休す。「こんなもの、もはや何の役にも立たぬわ!」と例のお墨付きを破って火中に投じる将監。

時代劇名優一覧・西田健

意表を突かれた表情の吉宗を振り返って将監。

「何もない!陰謀などどこにもないわ!」

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「んはぁっ!」

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抜刀して吉宗に斬りかかる将監。

「おんのれぇ!」

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このシーンの健サマが、めちゃめちゃカッコイイ!

しかしあっさり刀を払われて瞬殺される健サマ・笑

「うぉっ・・・!」

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吉宗の「成敗!」で才三と茜になますにされる健サマ。

時代劇名優一覧・西田健

健サマは斬られたらだいたい前に倒れますね。珍しいタイプです。

時代劇名優一覧・西田健

テーテテ、テッテッテッテー♪で一件落着。

時代劇名優一覧・西田健

弥吉は忍びを捨てて、ただの薬売りとして生きていくべく、お里と富山に帰って行ったのでした。

 

本作、副題にもある通り、数奇な運命を辿った忍び父子の物語でして、父親役の三上真一郎氏も(ところどころ妙に滑舌が悪いなりに)ほどよく枯れた感じの味わい深いお芝居をなされるのですが、とは言え個人的には今回も桁外れの貫録を見せつけてくれる健サマワールド全開の迫力に満ちたお芝居ばかりが印象に残ってしまいます。しかしながら、絶大な権力を誇る尾張藩江戸家老と年季の入った忍びの頭目という関係性を考えれば、粋な組み合わせと言えなくもないわけで、意外とそこまで考えられての配役だったのかもしれません。