斬られ役列伝・木谷邦臣編/名奉行 遠山の金さん(第3部)第12話:サギ師 金さんの弟現る!(制作/テレビ朝日・東映)
- 2022.05.09
- 木谷邦臣(東映剣会)
- 名奉行 遠山の金さん, 土井淳之祐, 斬られ役, 木谷邦臣, 殺陣

作事奉行の中津川将監(船戸順)と結託し、手抜き工事で暴利を貪る土木請負業・美濃屋重兵衛(小林勝彦)配下の用心棒役でラス立ちに登場する木谷邦臣名人。土井淳之祐氏の組んだ手による、福本清三氏や笹木俊志氏との息の合ったチームプレーが冴え渡る、素晴らしい立ち回りシーンをピックアップ。
同業の大黒屋(山口幸生)や相模屋(宮城幸生)共々、美濃屋が将監と公儀の橋普請に纏わる談合の相談をしている深川の料亭に、美濃屋らによって口封じのために殺害された大工の棟梁・六右衛門(土屋嘉男)の娘・お初(渡辺千秋)共々乗り込んで来たお調子者なペテン師・吉兵衛(桜木健一)は、長ドスを抜いた美濃屋子飼いのヤクザ者、左紋次(広瀬義宣)に迫られ絶体絶命のピンチ。
そこへ満を持しての金さん登場。美濃屋が六右衛門殺害時の一部始終をベラベラ得意げに喋り終わると「手前ぇら人間じゃねぇや!」と怒る金さん。「お前たちには死んでもらうよ」と鼻で笑う美濃屋に続いて将監が「殺れぃ!」と号令するや、福本氏に続いて金さんに真っ向から斬りかかり・・・
そのまま反時計回りから・・・
流れるような水平斬り・・・
を金さんがガッチリとホールド。
反対側からは福本氏。
で、まずは福本氏へパンチを繰り出した金さんに・・・
腕を押さえつけられ・・・
鋭い左を喰らう・・・
木谷名人。
と、まぁ、ここまではほんの小手調べ。
「せめてこの世の名残の、世直し桜、拝んであの世へ、行きやがれぃ!」と金さんが桜吹雪を御開帳、チンピラ役の福中勢至郎氏と岡田洪志氏の、かなりわざとらしいビックリ芝居を挟んで斬り合い開始。
同じく用心棒役で登場する白井滋郎氏の刀を取り上げ峰を返す金さんを見て、美濃屋、大黒屋、相模屋の三人がその場から逃げ出すシーンから画面切り替わって・・・
上手から金さんに斬りかかる笹木氏に続いて・・・
下手から斬りかかる木谷名人。
金さんの横払いを・・・
跳び退いて躱し・・・
金さんが岡田氏、矢部義章氏と倒したところで・・・
下手へと一人シャッター。
そこへ上手奥から福本氏が登場・・・
金さんが福本氏の真っ向を・・・
払い上げるや否や・・・
下手から真っ向斬りを仕掛け・・・
ガッチリ受け止められる木谷名人。
今度は下手奥から斬りかかる笹木氏に反応した・・・
金さんに・・・
刀を巻き落とされ・・・
下手に後退・・・
続いて斬りかかった・・・
福本氏が胴を払われるのに続いて・・・
繰り出した右袈裟を・・・
刀で受けられ・・・
すぐさま・・・
流され(ここ金さんとタイミング合ってないけど)・・・
すかさず刀を戻すも・・・
右袈裟に峰打ちを喰らって・・・
キレ味よろしく回転しながら・・・
膝から・・・
崩れ落ちる・・・
木谷名人。
華麗にフィニッシュ!
ここ、画面手前で上手、下手と縦横無尽の大活躍、一番目立ってる木谷名人に加えて、福本氏、笹木氏の剣捌きも見事なんですが、土井淳之祐氏が組まれた手順の展開が本当に素晴らしいです。特に木谷名人の手を一度金さんに受けさせたところが憎いですね~。これを入れると、一瞬だけテンポのよい流れが止まってリズムを崩せるんですよね。名人たちの織りなす巧手の連続の中にも、ちょっとした変化を絶妙なバランスで組み入れた素晴らしい手順だと思います。
この後、金さんは順調に敵をバッタバッタと倒して行って、終いには将監と二人、用心棒役の峰蘭太郎氏が生き残るのですが、最後の最後、峰氏のやられっぷりもまた超カッコイイです。そもそも木谷名人、福本氏、笹木氏、そして峰氏の「剣会四天王」がラス立ちで揃い踏みというのは、実はかなりのレアケースだったりします。手順も土井氏渾身の力作となってますし、この作品、いや~、なかなか贅沢な一作ですね。
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