時代劇名シーン一覧/眠狂四郎 江戸城に渦巻く陰謀!母よ、妻よ、女たちよ、円月殺法、御照覧あれ!!(制作/テレビ朝日・東映)より

時代劇名シーン一覧/眠狂四郎 江戸城に渦巻く陰謀!母よ、妻よ、女たちよ、円月殺法、御照覧あれ!!(制作/テレビ朝日・東映)より

93年に放映された田村正和氏による眠狂四郎モノの単発時代劇。各民放が2時間スペシャルを乱発していた時期の作品ですね。

キャスト陣はそこそこ豪華ながら、ストーリーそのものには特筆すべき点もなかったように思いますが(笑)、序盤の1シーンのインパクトだけは強烈です。

 

見知らぬ子どもに薄暗い寺へと連れて来られた狂四郎。そこには能面を着けた武家女。

「私(わたくし)を買うて下され」

眠狂四郎

うーん、妄想を掻き立てられる、なかなか憎い演出(笑)

狂四郎が紙入れを投げてよこすと、金ではなく侍を一人斬ってくれ、と言い出す能面女。「女を抱くことと無縁の人の命。このやり取りでは算盤が合わぬ」とシブいセリフを吐いて立ち去ろうとする狂四郎。

「お待ち下さいまし」と能面女。

眠狂四郎

聞けば斬って欲しい相手は狂四郎の命を狙う鷹野主膳。女は主膳の妻(志乃)だという。「面をとって貰おう」という狂四郎の申し出を拒否する志乃。狂四郎が刀で斬りつけるとパッカリ割れる能面。

現れたのは石倭裕子さん。

眠狂四郎

お色気シーンを得意とする女優さんですね。いやが上にも期待が高まります(笑)

主膳は自分を奪うために前の夫を殺した仇だという志乃の話を聞き、「操を頂戴するに場所は選ばぬ」と仏前で行為に及ぼうとする正和さん(笑)

横になった裕子さんの裾をまくって手を太ももに。

眠狂四郎

「はん」と裕子さんが一声喘ぐと床下から突き出される刀。さっと躱した狂四郎、自分の刀を床に突き立て「望み通り鷹野主膳は討ち取った」

眠狂四郎

え?そういう展開?? でもカッコいい(笑)

続けて懐剣を抜いて襲い掛かって来た志乃の腕を掴み、自分の刀の刃に押し当てる狂四郎。

眠狂四郎

たまらず懐剣を落とし、逃げ出す志乃。その背中に一太刀浴びせる狂四郎。

眠狂四郎

どういう斬り方をしたのかは分からないがハラリと床に落ちる、下着を含む裕子さんの全ての着衣。

眠狂四郎

たぶん裕子さん本人ではなくて吹替え(脱ぎ専)のひとだろうけど、まぁいいや。

「愚かな企み」と一蹴して立ち去ろうとする狂四郎に、懐剣を拾い直して再び襲い掛かろうとする志乃。床に落ちてる自分の帯に足をとられて転倒し・・

眠狂四郎

倒れた先に突き立っていた主膳の刀が胸部を貫通。

刃を通じて床下へと滴り落ちる血。

眠狂四郎

主膳(の死体)役は笹木俊志さんでしょうか。

眠狂四郎

最後にもう一度お尻(たぶん吹替え)。

眠狂四郎

 

ちなみにこのシーン、72年にフジテレビ系列で放送された、同じく田村氏主演の連続ドラマ版の1シーンのリメイクです。いずれも井上昭監督の作品ですが、洗練された台詞や、よりしっくり来るコマ割り、新しい演出(能面)も含めて、私はこちらの方が好きですね。

前触れもなく床下から刀が突きだされる場面、一瞬何が起きたか分からないが、すぐに「あぁ、そういうことね」と納得できてしまう筋書きの巧みな展開がいいです。フジテレビ版では、狂四郎が行為の最中に自分の刀の鯉口を切るシーンが挿入されているので、これから何か起きるのが分かってしまいます。

妻(志乃)の血が床下まで滴り落ちていった先に夫(主膳)の骸、というのもなかなか趣向に溢れた演出です。たかだか3分かそこらのこの1シーンに、時代劇の「粋」が(お色気も含め・笑)全て凝縮されていると言ってもよいのではないでしょうか。