斬られ役列伝・伊吹聡太朗編/江戸を斬るVII 第25話:願い叶えた千両富(製作/C・A・L 制作協力/東映)

掏摸の元締め・顔なしの貫造(小松方正)一味で凄腕の浪人者・浅川一心役で登場する伊吹聡太朗名人。物語の中盤で、金四郎(里見浩太朗)との1対1による大変美しい立ち回りを披露して下さいます。
物陰から不意に現れ、一味の熊(江幡高志)を尾行して来たお鈴(大沢逸美)たちの前に立ちはだかる頭巾姿の伊吹名人。
さすがは新国劇の名手と謳われた伊吹名人、ただ出て来ただけで尋常でないオーラが・・・。
お鈴の投じた捕り縄を一太刀で斬り伏せ、わっと逃げ出すお鈴たちに追い討ちをかけようとする伊吹名人。
物陰の金四郎に気づいて足を止める伊吹名人。
正眼に構えてから・・・
静かに刀を下ろして下段の構えに移行し・・・
すかさず斬り上げる伊吹名人。
再度、正眼に構え、抜刀した金四郎と相対する伊吹名人。
互いに左手へと回り込もうとする金四郎と・・・
伊吹名人。
伊吹名人も里見氏も、重心がいささかもブレることなく大変優美な足捌きで移動します。お二人ともいとも簡単そうにやってのけますが、これが本当に難しい・・・。
互いに真向斬りが・・・
空を斬り・・・
互いに・・・
払い合い・・・
もう一度互いの一太刀が・・・
空を斬ったところで・・・
繰り出した刀を・・・
金四郎に受けられ・・・
上からかぶせられる伊吹名人。
そのまま小走りに移動。
静止してからの1カット。
伊吹名人、カッコ良すぎる・・・。
金四郎の刀を力任せに払い上げる伊吹名人。
片腕で繰り出した・・・
一太刀を躱され・・・
続けて天・・・
天、と繰り出すも受けられ・・・
鍔迫り合いで追い込まれて苦しい伊吹名人。
踏ん張って・・・
金四郎の刀を左手に払う伊吹名人。
突きを繰り出すが・・・
金四郎に躱される伊吹名人。
この里見氏のターンも美しすぎる・・・。
再度・・・
天・・・
天、と繰り出す伊吹名人。
ここは息が合わなかったのか、里見氏の右払いは空を斬り、伊吹名人は空中で刀を止めて里見氏の左払いを待つ格好になってますね。
左手一本で大きく刀を払われ、回転して逃げたところで・・・
画面が切り替わり、金四郎を狙って短筒が発射され、立ち回りシーンは終了。
これまでに千本をはるかに超える時代劇を見てきたと思いますが、この場面が私の見てきた時代劇史上ナンバー1の立ち回りシーンですね。演じるお二人が殺陣の巧者ということもありますが、それにもまして、付けられている手順が流れるように美しい。
擬斗担当はもちろん菅原俊夫翁。エンドクレジットを確認するまでもなく、このシーンについては見る人が見ればすぐに分かるはず。菅原翁の付ける手にはいくつかのパターン(癖?)がありますが、空振りを有効に活用して来るのも菅原流ですね。
ちなみに伊吹名人、もちろん終盤のラス立ちシーンにも登場しますが、こちらはやや不完全燃焼のまま金四郎の峰打ちを喰らって地面に沈んでしまわれました。