時代劇名優一覧(男優編)・立川三貴/闇を斬る!大江戸犯科帳 第15話:道化の涙(製作著作/ユニオン映画 制作協力/東映太秦映像)

時代劇名優一覧(男優編)・立川三貴/闇を斬る!大江戸犯科帳 第15話:道化の涙(製作著作/ユニオン映画 制作協力/東映太秦映像)

前年に親王が生まれた際の幕府の祝い事に対する返礼のために、中納言・飛鳥井時房(沖田さとし)、少納言・錦小路正光(広瀬義宣)と共に京から勅使として江戸に遣わされた大納言・土御門宗冬役として登場する立川三貴先生。

まずはお務めが終わった土御門らが辰ノ口の伝奏屋敷で寛いでいるシーンから。

 

飛鳥井に「初のお江戸はいかがにおじゃりまする?」と問われ、口に紅を引きながら「卑しい者どもがひしめき合うて暮らしておる」だの「人の住むところとは思えぬぞぉ」だの言いたい放題の大納言様(笑)

時代劇名優一覧・立川三貴

そんなやり取りを聞いていた錦小路に「やや、江戸前の料理の味は格別」「早ぅ街場に繰り出そうではおじゃりませぬか」などと急かされ・・・

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心底いやそうな顔をしながら「意地汚いのぉぉぅ、もうっ!に・し・き・の・こうじは!」とオカマ口調で吐き捨てる大納言様(笑)

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ははぁ、およそ公家らしからぬ体型の広瀬氏の起用はこのシーンのためか・・・?

 

場面変わって。

江戸城中で大納言らになぶり者にされた茶坊主の珍阿弥(吉田次昭)が、非番の日に、祝言を控えた妹・おしの(松原ひろの)を連れて呉服屋を訪れ品物を選んでいると、なぜかその場に勢揃いしている大納言様ご一行(笑)

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そして早速おしのに目をつける目ざとい大納言様(笑)

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「これはこれは。其の方の妹とは思えぬ、美形じゃなぁ」と、はずむような足取りでおしのに近寄る大納言様。

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たまたま画面右手前にかけてあった適当な反物を「これなど、似合うと思うが・・」などと言いながら手に取り、おしのの身体に巻き付けついでに抱きつくセクハラ大納言様(笑)

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大納言様は即決でその反物を購入。「そのような事をなされては困ります」と当惑しながら恐縮しきりの珍阿弥に「よいよい。磨からの、ほんの気持ちじゃ」と不気味な笑みを浮かべる大納言様。

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うげー、気持ち悪い・・・(笑)怪優・立川三貴先生の本領が如何なく発揮されています。

 

そして早速その日の夜には家来二人(浜田隆広/加藤重樹)を連れて珍阿弥邸を訪れる、フットワークの軽い大納言様(笑)

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びっくりした珍阿弥が「このようなむさ苦しいところへ、何事でございましょう!?」とうろたえるや開口一番「其の方の妹に、伽を命ずる」とご無体な大納言様。

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そして珍阿弥を振り切って勝手に部屋に上がり込むと、すかさずおしのを発見。およそ御公家様とも思えぬ切れ味鋭い動きで、おしのの帯を手早く剥ぎ取る大納言様。

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おしのは懐剣を自らの喉に突き付け「このうえ御無体いたすなら、覚悟が・・・」と自害を仄めかします。しかし意にも介さず、落ち着き払った低く静かな声で「出来るかな・・?死ぬと叫んで、死んだ者のいた試しはない」とカッコいい大納言様。

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ところがおしのはあっさり自害。「いやぁぁ」と悲鳴をあげるカッコ悪い大納言様(笑)

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家来二人に連れられ現場からあえなく退散する大納言様なのでした。

 

さらに場面変わって、江戸城中。

前日夜に料亭で飲食中の錦小路が何者かに殺害された件につき、幕府に難癖をつける大納言と飛鳥井。困惑する側用人(芝本正)に代わって大目付の一色由良之助(里見浩太朗)や北町奉行・小笠原泰久(西郷輝彦)が大納言らと直談判。大納言は、帝には錦小路が病死したと伝える見返りに、幕府に金銭を要求します。

「この不始末、三千両で申し受けよう」

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当惑する幕閣たちを前に「三千両で事が丸く収まれば、安いものでおじゃろう?」と悪びれもせず言い放つ飛鳥井に呼応して大納言。

「磨も、そう思うよぉ?」

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立川先生、口調は御公家様ですが、肝心の文法が現代語なのでは・・・?

 

さて、実は錦小路を殺害したのは浜田隆広氏でした。まんまと幕府から三千両をせしめた大納言様ご一行。江戸を後にして品川本陣で千両箱を前に寛いでいます。

「何もかも、絵図通りに事が運んだではないか」と得意満面の大納言様。

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「幕府の者どものアホ面が、おかしゅうおじゃりまするなぁ」と笑う飛鳥井に応える大納言。

「ほんに、アホ面もよいとこじゃ」

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「ほほほほほ・・」

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そこへ「アホ面はどっちだ?」と一色が登場。

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錦小路殺害を含む罪状の一切合切を一色に暴かれるも、すっとぼける大納言様。

「大目付殿?どこにそのような証拠がおじゃる!?」

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しかし一色に「闇奉行の俺に証拠なんざいらねぇんだ!」と一喝され、斬り合いに。

一人また一人と一色に斬られて行く大納言の従者たち。

時代劇名優一覧・立川三貴

最後はばっちりカメラ目線で叩っ斬られる大納言様でした。

時代劇名優一覧・立川三貴

 

あばた面にギョロギョロしたお目々。日本人離れしたお顔立ちと、セクシーな唇から紡ぎ出される広い音域とハリのある魅惑のボイス。時代劇の悪役常連の役者さんたちの中でもずば抜けた存在感を誇る立川三貴先生ですが、やや常軌を逸した言動が特徴的な大納言様のキャラクターに見事にハマっています。

ミュージカル俳優や声優も兼ねる立川先生だけあって、公家という特殊な人物を演じるなかにも、場面ごとの声色の使い分けが見事ですね。「死ぬと叫んで、死んだ者のいた試しはない」の行(くだり)は、それまでの何処かとぼけたお芝居から一点、人間の本性を知り尽くした知恵者の凄みを感じさせます(まぁ、当てが外れてすぐに「いやぁぁ」と悲鳴を上げる羽目になるのですが・笑)

ラス立ち前のシーン、立川先生が「どこにそのような証拠がおじゃる!?」と一色に気色ばんだ直後に中納言・飛鳥井役の沖田さとし氏が「証拠がなければ人は裁けん」とセリフを続けるのですが、あまりに立川先生のセリフの声量や節回し、狂乱した御公家様の役作りが見事過ぎて、沖田氏のお芝居が霞んでしまっています。かと思えば「磨も、そう思うよぉ?」が観る者に与える脱力感(笑) お芝居の引き出しを無限に持ち合わせているかのような立川先生。とても素敵な役者さんだと思います。