時代劇アイドル編・本間由美/半七捕物帳 第4話:八丁堀友情の十手(製作/ユニオン映画 制作協力/東映太秦映像)

これからテレビ時代劇ブームも下火になって行くという90年代からちょこちょこ見かけるようになったのが、本間由美さんという、野に咲く一輪の花を思わせる可憐な女優さん。大スターのオーラ的なものは、まるで感じさせない・笑 であればこそ画面に映える、程よい美しさを具えた愛くるしいお顔に日本髪がとてもよく似合う、何とも素敵な女優さんだったのですけれども、この方も遅れてやって来た逸材というか、もう少し太秦での活躍を見てみたかった女優さんの一人ですね。
里見浩太朗氏主演の人情時代劇シリーズ「半七捕物帳」から。
三河町の半七(里見浩太朗)行きつけの呑み屋「つたや」の女将・お千加(片平なぎさ)や従業員のおみつ(太宰由美子)、清吉(高橋浩二朗)らが、北町奉行所同心・小山恭介(堤大二郎)の奥手ぶりをネタにして盛り上がっていた頃、赤ん坊を抱えて半七邸を覗き込む女あり。
振り返ってみれば、若妻役がどこまでもハマる本間由美さん。
赤ん坊をあやすお顔がとってもキュートな本間由美さんの背後から、半七の下っ引き・庄太(西山浩司)登場。
庄太に気付いて振り返る由美さん。
「こちらは、三河町の半七親分のお宅ですね?」
庄 太「そうだけど?何か、用かぃ?」
おさよ「実は・・・この子のことで、親分さんにご相談がっ」
我が子の行く末に関わる相談に来た割にはアナウンサーのように正しい日本語をはきはき話す本間由美さん。ちょっと変わった芸風・・・笑
で、場面変わって半七邸に上がり込んだ本間由美さん、半七の娘・お初(有沢妃呂子)と談笑中。
お 初「かわぃ~ぃ、男の子ね?」
おさよ「えぇ!」
どこまでも悩んで相談に来た感ゼロのお芝居を貫く本間由美さん・笑
で「この子のことで~、親分に相談てのは何だい?」と庄太にフられて由美さん。
「この子の名前は、恭太といいます」
お 初「恭太・・・ちゃん?」
おさよ「八丁堀の、小山恭介様のお名前から、一字をとって付けました」
何で恭介の名前から?と訝るお初と庄太に平然と言い放つ由美さん・笑
「あの方がこの子の・・・恭太の父親だからです」
「恭介さんが!?」と素っ頓狂な声をあげるお初に「この子の父親?」と続く庄太。
で、慌てて半七を呼びに行った庄太ともども半七が帰宅した頃には、赤ん坊だけ置いて由美さんの姿は忽然と消えていたのでした。
さて、心当たりを恭介に直接、問い質す半七ですが、恭介は「言い掛かりもいい処だ!」と潔白を主張。その夜・・・
ひとり神社の境内に佇む、物思いに耽る様子もキュートな本間由美さん。
「!」
不意に現れるチンピラ二人は、辰三(広瀬義宣)と猪之吉(細川純一)。
猪之吉「赤ん坊は置いて来たろうなぁ・・・?」
おさよ「あのひとに言われた通り・・・」
「三河町の半七親分のところに・・・」
「でも・・・私・・・やっぱり・・・」
「親子三人で一緒に・・・」
「だって・・・赤ん坊は、あのひとの子供なんだもの!」
「私・・・」
「赤ん坊を連れ戻して来ます!」
「!」
本作の大ボスである廻船問屋の紀州屋(田口計)に飼われてる用心棒・秋村小十郎役の宮口二郎氏が現れるのですが、ここからが時代劇女優・本間由美の真骨頂!
宮口氏が抜刀!
袈裟斬り!
「ぎゃぁぁぁ!」
おぉ!何て美しいフォーム!
右足だけで身体を支えつつ、福本清三氏にも引けを取らないエビ反りを披露してから石段に倒れ込む本間由美さん。
ドテッ!の効果音が臨場感を盛り上げる!
さすがに真後ろに倒れるのは無理だったようですが、それでも、それなりに危険の伴う石段にこれだけ見事に倒れ込む事ができた女優さんなど、見たことがありません。
残心・笑
ついでに、おまけ。
番屋に回収された後も、どこまでもキュートな本間由美さんでした・笑
あ、ここで初めて、本間由美さんが演じていたのは「以前、三味線堀の笹屋って船宿で働いてた」おさよという女であることが判明するのですが、ま、これで由美さんの出番は終わりなので、どうでもいいっちゃどうでもいいですね・笑
お芝居の深みがどう、とかいう話はさておき・・・笑 お顔だけでなく所作も美しい本間由美さん。あの素晴らしい斬られっぷりからしても、時代劇の撮影現場に要求される素養の習得に並々ならぬ努力を重ねて来られたのであろう事が推察され、いち時代劇ファンとして本当に頭が下がる思いです!
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時代劇アイドル編・本間由美/半七捕物帳 第11話:闇の顔役(製作/ユニオン映画 制作協力/東映太秦映像) 2021.07.07