斬られ役列伝・木谷邦臣編/長七郎江戸日記(第1部) 第19話:裏切り御免(制作/ユニオン映画 制作協力/東映太秦映像)

亀岡藩江戸家老・野中重蔵(浜田晃)と結託、亀岡藩領内で見つかった金山から数十万両に及ぶ金をネコババするために、亀岡藩主・皆川嘉明(水上保広)を切腹に追いやったばかりか、その子・京之介(小野喬)の命まで狙った幕府の金山奉行・堂前景成(名和宏)のいち家臣としてラス立ちに登場する木谷邦臣名人。一言のセリフもない単なる斬られ要員として登場しながら、他を圧倒する存在感を発揮しつつ華々しく長七郎(里見浩太朗)と闘って死んでいきます。
景成の「出会え!」の号令にぞろぞろ現れた家臣団の一人として登場、一段高い位置で長七郎と対峙する木谷名人(左から三人目)。
景成の「斬れ!」で抜刀・・
白井滋郎氏(中央)が長七郎に斬りかかると同時に刀を振りかぶり・・
司裕介氏(右)に続いて長七郎に斬りかかるも・・
刀を大きく払われる木谷名人。
しかし、あっさり斬られる白井氏を尻目に素早く下段に構え直す木谷名人。
この「一連の」動きが木谷名人の持ち味ですね。ただの斬られ役としてであれ、画面に登場している間はお芝居に隙も抜かりもありません。
終盤。長七郎に追い詰められ、座敷から廊下へと逃げ出した景成を追い、いち早く景成を守る位置につく木谷名人(左)。
他の家臣も次々と廊下に駆け付けるなか、景成と共にじりじりと後退しつつ・・・
先陣を切って長七郎に斬りかかり・・・
長七郎の脇を抜けて・・・
長七郎の背後につける木谷名人。
藤長照夫氏、大矢敬典氏、あともう一人斬られたところで景成が長七郎に斬りかかりますが、小刀でガッチリ受けられます。そこへ・・・
袈裟掛けに斬りかかるも・・・
ヒラリと躱される木谷名人。
しかし、すぐさま手首を返し・・・
体勢を立て直しつつ中段に構え直す木谷名人。
木谷名人、やはりここでも動きに切れ間のないお芝居をごく自然にやってのけます。
さらに自身の背後に逃げ込んで来た景成を守るかのように、左腕一本で横一文字に刀を構え直す木谷名人(カッコいい!)。
そして顔の高さまで刀を上げつつ、ゆっくりと後退する木谷名人。
ここで司氏(右)が長七郎に斬りかかって返り討ちにされます。残るは景成と竹井雅文氏(左)、木谷名人の三名のみ。
じりじりと詰めて来たうえ、グッと腰を落とした長七郎に切っ先を突き付けられ、同じく腰を落としつつ、今度は右腕一本で横一文字に構える木谷名人。
そして全員、庭へ。
再び腰を落としつつ、今度は右手持ちで下段に構える木谷名人。
しかし木谷名人、繰り出す構えが実にバリエーション豊かですねぇ。しかも、どれもこれも様になってるのが素晴らしい・・・。
しばらく長七郎と対峙した後、木谷名人は不意に画面左手へと移動・・・
その背後から竹井氏が斬りかかるというパターン。
これはシャッターと言っていいのかな?
竹井氏はあっさり胴を払われます。続けて斬りかかったが刀を払われた景成に続いて長七郎に斬りかかるも・・・
同じく刀を払われ・・・
その場で反転して・・・
長七郎の背後につける木谷名人。
満を持して長七郎に斬りかかった景成に次いで斬りかかるも・・・
大刀で大きく刀を払われると共に・・・
胴を・・・
抜かれ・・・
いったん頭を垂れてから・・・
大きく仰け反り・・・
いつものように膝からくずおれる・・・
木谷名人。
フィニッシュ。
本作の擬斗担当は、江戸日記シリーズを通じてメインを努めた上野隆三翁。このラス立ち、一介の斬られ要員としての登場ながら木谷名人がちょっと目立ち過ぎなんですが(笑)、他の斬られ要員を適宜カラませながら、実質、木谷名人と里見氏を1対1で対決させるかのような筋立ては、上野翁お得意のパターンでしたね。
まぁ、それもこれも上野翁の木谷名人に対する並々ならぬ信頼感の表れと言えるのではないでしょうか。
-
前の記事
斬られ役列伝・木谷邦臣編/闇を斬る!大江戸犯科帳 第18話:蛍大名(製作著作/ユニオン映画 制作協力/東映太秦映像) 2019.04.08
-
次の記事
斬られ役列伝・木谷邦臣編/名奉行 遠山の金さん(第3部)第12話:サギ師 金さんの弟現る!(制作/テレビ朝日・東映) 2022.05.09