斬られ役列伝・木谷邦臣編/松平右近事件帳 第18話:大江戸の汚れた手(制作/六本木オフィス・ユニオン映画 制作協力/東映太秦映像)

幕府の米を横流ししている御米蔵の支配頭・久米武太夫(飯沼慧)を強請って私服を肥やす旗本大御番一味の一人、植田勘助役で登場する木谷邦臣名人。ラス立ちで大活躍なさいます。
雷鳴が轟くなか、右近(里見浩太朗)の正体を知った久米ですが、居合わせた侍たちに「かまわぬ!斬れ、斬れ斬れぇぃ!」と号令。すぐさま抜刀して・・・
斬りかかるも・・・
右近が持参した傘で妨害される木谷名人。
続けて久米配下の佃左平次(笹木俊志)による「出会え!出会えぇぃ!」でぞろぞろ出て来た侍たちに混じって前線に立つ木谷名人(奥)。
峰蘭太郎氏(手前左)が右近の捨てた傘を蹴り飛ばしたのを合図に・・・
右近に斬りかかり・・・
刀を払われる木谷名人。
場面変わって。
右近に斬りかかり刀を払われた後、再度斬りかかるも躱され・・・
右近の反撃の前に霞の構え気味に刀を引く木谷名人。
峰に左手を添えた状態から・・・
ゆっくりと刀を立てて・・・
左八相気味に構え直す木谷名人。
構えを移行する際に、ゆっくりと移行できるのは上手い役者さんですね。下手な役者さんがやっても刀の軌道が安定せず、様になりません。
なお、画面向かって右側に位置する場合、しばしば左八相気味に構えるのが木谷流。持っている刀が画面にどう映るかまで計算されているのでしょうね。ただし、これから相手に斬りかかって行く場合はこの限りではありません。
再度、場面変わって。
悪旗本のリーダー格、佐伯主水(岡崎二朗)が斬られたタイミングで右近に斬りかかろうとするが、目付けで動きを制止される木谷名人。
しかしすぐさま袈裟掛けに斬りかかり・・・
躱されるも・・・
手首を返し・・・
水平斬りを繰り出す木谷名人。
アングル変わって・・・
右近が振り上げた刀によって・・・
右腕を斬られる・・・
木谷名人。
しかし脂汗を滲ませつつ・・・
すぐさま脇差しに左手をかけ・・・
逆手に抜刀して・・・
右近に斬りかかるも・・・
胴を払われる木谷名人。
呻き声をあげて絶命する木谷名人。
本作の擬斗担当は上野隆三翁。物語上、岡崎二朗氏演じる佐伯主水に隠れて必ずしも重要な配役とは言えない植田勘助ですが、ことラス立ちに関してはこの植田勘助=木谷名人を軸に進行するよう手が付けられているようですね。
それにしても右腕を斬られた木谷名人が残る左手を使って「逆手で」脇差しを抜刀するシーン。これまでに見て来た時代劇は優に千本を超えると思いますが、ちょっと他では見たことのないレアな妙技です。こうしたイレギュラーな刀捌きも素早くかつ自然にやってのける木谷名人、さすがの一言に尽きますね。
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