斬られ役列伝・福本清三編/長七郎江戸日記(第1部) 第21話:母恋草(制作/ユニオン映画 制作協力/東映太秦映像)

近江国・膳仁藩主、石田忠次(伊東達広)を色惚けさせて藩の実験を握ろうとする家老、日野弾正(藤岡重慶)の腹心・上島丹波役として登場する福本清三名人。ラス立ちで大活躍なさいます。
長七郎(里見浩太朗)の正体を知りながら偽者として片づけることにした日野の「斬ってしまえぃ」の号令をもとに、刀に手をかけ長七郎ににじり寄る福本名人。
抜き打ちに一太刀浴びせる福本名人。
同じく日野の配下・山中(木谷邦臣)とコンボでしつこく攻撃を繰り出す福本名人。
庭から縁側へと日野を追う長七郎と共に小走りで移動する福本名人。
素早さに加えて滑るような動作が美しい福本名人、上半身が全くブレません。こんな芸当が出来る役者さん、ほかに誰かいるかな?
さらに日野を追う長七郎を背後からつけ狙う福本名人。
山中と共に長七郎と対峙する福本名人。
長七郎が緑羽織の藩士(=峰蘭太郎氏)に斬りつけた隙を逃さず斬りかかるが、躱される福本名人。
生き残った全員が庭に下りてからの攻防。高めの突きを長七郎に払われる福本名人。
西山清孝氏が斬られて残るは日野、山中、そして福本名人の3名。他の2人と三方から長七郎を囲い込みつつ上段に構え直す福本名人。
山中→日野と斬られたところで長七郎に斬りかかるが刀をはね上げられ・・・
逆に抜き胴をキメられる福本名人。
もう一度、山中が斬られたタイミングでターンして・・・
斬りかかるも・・・
再度、日野ともども抜き胴をキメられる福本名人。
呻き声をあげながら半回転して・・・
硬直する福本名人。
そのまま・・・
地面へと・・・
倒れこむ・・・
福本名人。
フィニッシュ。
お能の世界では直立不動の姿勢のまま後ろに倒れることを「仏倒れ」といい、難易度の高いテクニックとされているようですが、同じようなことをやってのけるのが福本名人。「エビ反り」で有名な福本名人ですが、「エビ反り」は身体を反らせた状態で一度静止してから地面に倒れる分、着地時の衝撃は和らぐんですね。今回の倒れ方はさらに1ランク上の荒業。
福本名人は、やや身体を捻って右肩から地面に落ちるように倒れておられます。真後ろに倒れるよりも頭部の安全が図れる、あるいは左腰に差した大刀の鞘を気にされてのことでしょうか。
せっかくカッコよく後ろに倒れようとしても、ビビッてしまうと腰が曲がって尻から倒れることになり、全て台無しです。その場合は倒れる際に身体が丸まっているため足が地面から大きく浮きますので、すぐに分かります。
しかしそこはさすがの福本名人。膝を使って限界まで後ろに仰け反りつつ、膝から上は直線状に保ったままドサリと倒れます。身体が後ろに傾き始めてから地面に到達するまでの滞空時間が長いのも、倒れる速度を膝でコントロール出来ているからですね。
尚、このお話、序盤に日野が夢楽堂(長七郎が居候している読売屋)に乗り込んでいくシーンでも福本名人の渋いお芝居を堪能することができます。福本名人ファン必見です。
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